モーターサイクル安定化のシステムおよび手法で特許を取得

VehicleSim

2021.12.21

メカニカルシミュレーションニュース | 2021.12.1

Mechanical Simulationのエンジニアである渡辺幸雄氏(博士)ならびにMichael Sayers氏(博士)は、モーターサイクルを安定させる新たな手法において、中国特許庁より発行された特許を取得しました。特許番号は、201780043634.7 (PCT/US2017/032132)です。両者は、それ以前の2019年10月8日に、米国特許庁からも同手法に対して米国特許を取得(特許番号: US 10,435,016 B2)していました。

モーターサイクルは、高速かつ高度なコーナリングレベルでの走行時に不安定になる場合があります。状況によっては、技術用語では「ウィーブ」、ライダーの間では「ウィドウメーカーバイブレーション(危険な振動)」として知られる振動を発生させます。モーターサイクルのウィーブ現象は、1970年代前半に理論的に特定され、メーカーは、後輪への過度の重量を回避し、スプリングやダンパーのチューニング、および、その他の調整によってウィーブ現象を排除しようと試みました。しかし、コンピューター上でブレーキ、スロットル、およびステアリングを適用することによってウィーブ現象を除去(低減)しようと試みた人はいませんでした。

発明されたこの手法では、2輪または3輪モーターサイクルの高精度なコンピューターシミュレーションモデルを使用し、特定の速度および操舵角における、安定したモーターサイクルのヨーレート、横加速度、ロール角などの走行状態を予測します。実車のモーターサイクルの走行状態を測定し、計算モデルの走行状態と比較し、差し迫った安定性の損失があるかを判断します。この差異の性質を利用して、人間のライダーとは無関係にエンジントルクを変調し、操舵トルクを適用して、ブレーキに介入します。

一般的に、高速走行中に振動現象が発生している場合、モーターサイクルにブレーキをかけることは非常に危険です。しかし、特定のタイミングでの振動に連動してブレーキを適用することにより(これは、請求項にかかる発明の一部)、効果的に速度を低下させ、ウィーブ振動を低減させて、モーターサイクルを安定させることができます。ブレーキは、モーターサイクルの運動の振動周波数と迅速に連動して厳密に適用され、その結果、人間のライダーが操作するよりも早くブレーキがかかります。

多くのハイエンドなモーターサイクルがより大きなパワーを提供し、一部のアジア諸国ではハイウェイにおける2人乗りが合法化される中、高速安定性の問題は重要性を増してきています。渡辺氏は、「この発明のシステム手法は、高速走行中のモーターサイクルやパーソナルモビリティビークルの予期せぬ振動の挙動に備えうる、次世代の安定性制御とも考えられます。」と述べています。




定曲率半径の路面摩擦0.5を時速145 kmの速度で走行する、安定性制御有りと無しの3輪モーターサイクル

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※本文章はメカニカルシミュレーション社が発行したニュースレターを基に、バーチャルメカニクスが翻訳編集加筆を行っております

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