メカニカルシミュレーションニュース | 2023.2.8
株式会社日立製作所の渡辺将央氏と東京農工大学の酒井憲司氏がScience Directに投稿した技術論文で、トラクターの安全上の懸念点であるロールオーバーについて述べています。
トラクターの横転は、農業における死亡・重傷事故の主な原因となっています。2018年の日本の農作業死亡事故は274件、そのうちトラクターの横転事故は56件です。
トラクター運転シミュレーターは、横転事故を予測・防止するための強力なツールになります。運転シミュレーターを使用することで、現場実験と比較して物理的な理解が容易になり、人間と機械の相互作用や運転者の安全性に関する研究にも大きなメリットがあります。
今回の研究では、ドライビングシミュレーターという安全で再現性・制御性の高い環境を用いて実験を行うことにしました。しかし、シミュレーションが正確に動作し、物理データと一致することを確認する必要がありました。そこで、トラクタードライビングシミュレーターを開発し、トラクター横転のシナリオをシミュレーションで再現し、その能力を検証することを目標としました。このトラクタードライビングシミュレーターは、Mechanical Simulation社のCarSim、MathworksのMATLAB & Simulink、Solution社のMotion Platform Systemを用いて開発されました。
その結果、モーションシステムを搭載したトラクタードライビングシミュレーターは、安全研究に使用する仮想テストプラットフォームとして適していると判断されました。このドライビングシミュレーターは、トラクターメーカーによる安全設計、農家への安全教育、政府による安全基準の設計など、様々な用途に利用することが可能になります。
論文全文を読む
CarSimのシミュレーション結果:傾斜路面(μ=0.25)におけるトラクターの横転過程。
(a) 未舗装路を下るトラクター(b) カーブに入り路面を平らにする(c) 滑り始める(d) そして横転が発生する
CarSim製品についての詳細はこちら
製品に関するお問い合わせ、お見積り、ご相談はこちらから
※本文章はメカニカルシミュレーション社が発行したニュースレターを基に、バーチャルメカニクスが翻訳編集加筆を行っております
※ 記載された会社名・商品名・製品名は、各社の登録商標または商標です